これまでに当ブログのカテゴリ「遍路初心者講座」では、車や徒歩などの「遍路における移動手段」、「遍路にかかる日数」のおおよその目安を述べてまいりました。
ここではそれらのエントリを踏まえ、「移動手段別の遍路にかかる費用の目安」について私見を述べてまいりたいと思います。
・車遍路【注】
⇒12万円程度(人数による)
・バス遍路
⇒20万円程度(団体の規模による)
・タクシー遍路
⇒15万円程度(契約会社と人数による)
・自転車遍路
⇒15万円程度(日数と宿泊場所による)
・バイク遍路
⇒10万円程度(日数と宿泊場所による)
・公共交通機関&徒歩
⇒20~25万円程度(日数と交通機関の利用状況による)
・歩き遍路
⇒35万円程度(日数と宿泊場所による)
「巡拝用具」(遍路用品)とは遍路のユニフォームである白装束や数珠、経本などのこと。「納経費用」とは、一ヶ寺ごとに支払う御朱印代(一ヶ寺200円or300円or500円)のこととなります。
当ブログでは、これらが遍路では“必携品”であるとして、進めてまいります。
・車遍路の費用内訳車遍路というのが、ある意味で一番計算しやすいもの。
⇒巡拝用具・納経費用・駐車料金と高速代(計1万円程度)・ガソリン代(2万円程度)・ロープウェイ利用料・書籍費用(地図やガイドブック)・飲食費・宿泊費用とオプション(一人部屋の確保・特別料理・アルコールの注文やカラオケ!?など)
日数の目処(めど)はつきやすいし、観光を含めなければ、大きな出費を強いられることもないでしょうから。
注意をするべきは、いくつかの札所で「駐車料金を徴収される」こと。そして宿泊施設によっては「一人一室利用だと部屋代が高くなる」こと。
この内の「宿泊費用」について補足しておきますと、車遍路の方の多くは午前7時から夕方5時まで目一杯走り、それから宿探しをされる方が多いものです。 それでも、最後に参拝した札所近くで宿が見つかればよいのですが、季節によっては満室ということも多く、そのために「最短ルートから外れた宿まで車を走らせ宿泊せざるを得ない場合がある」のです。
そういった宿というのは、概して規模も大きく 宿泊費用も高め。しかも、部屋は2人以上で使用が前提の場合が多い。
車遍路を二人以上で行っていて“相部屋利用”できれば良いのですが、もしも一人の場合ですと、宿泊費用は割高となってしまうのです。
こういった点に注意しておけば、「車遍路では1日1万3千円程度の出費」(13000円×9日=117000円)で、乗り切れるのではないでしょうか。
・バス遍路の費用内訳バス遍路は一度手続きを済ませてしまえば、後は“個人的な出費”以外にはほとんどかからないとされております。
⇒前納(四国までの交通費・巡拝用具費・納経費用・宿泊費用・食事代)・宿泊時のオプション(アルコール類など)・洗濯機使用料など
実際、寺ではお賽銭代に線香代(線香やローソクは持参可能)、道中では必要に応じて飲み物やお土産品の購入など。後は宿で、アルコール類を注文したり洗濯を行う際にお金を使う程度でしょうか。
つまりは、「バス遍路では事前にほとんどの費用を徴収されている」ワケなのです。
近年、このバス遍路はかなりバラエティの富んだものに。
以前は厳しい先達指導の元、過密日程で質素な宿へ泊まる、まさに“修行”といった趣でしたが、最近では豪華なバスを使ったり、ゆったりとした日程、それに温泉宿や観光ホテルのみを宿泊場所にする、かなり豪華なツアーも登場。その一方で“激安路線” をウリに、日帰りでバス代しか徴収しないツアーも増えてきたようです。
このバスツアーの価格差はツアーの人数・宿泊場所・日数によって左右されるようです。
参加人数が多ければ団体割引が適用され、温泉付のような豪華な宿に泊まれば、おのずと宿泊費用は高めに。さらに出発地によっても値段が異なり、高野山までの参拝を含めた長い行程となりますと、それだけ費用も高くなるわけです。
・タクシー遍路の内訳先ず、タクシー遍路では「『法人』か『個人』か」で、その料金設定が大きく異なります。また、遍路側に負担を強いられる「運転手も遍路と一緒に宿に泊まるか」という要素も大きい。それに「所要日数」や「参加人数」によっても、一人当たりの支払額が変動してまいります。
⇒前納(タクシー利用料・納経費用・宿泊費用・食事代)・巡拝用具費・宿でのオプション・観光費用
「基本的には納経費用や宿泊費用も前納」となっており、宿泊に関しては運転手と共に、その費用も遍路側が負担する必要があります。その代わり、遍路側には金銭以外の負担はかからず、運転手はあらゆる希望に応じてくれて、観光地案内にも対応してもらえます。
しかしながら、最近では「札所と宿の送迎のみ」しか徴収しない会社も現れつつあるようですから、そういった場合には「タクシーに支払うのは車代(一日当たりのタクシー利用料)のみ」となり、その他の納経費用や宿泊費などは全て遍路の自己負担となります。
概して、法人の方が安く済みますが、接客や経験は個人の方が上との評も。モチロン、法人や個人を問わず、運転手は四国霊場界が定めた「先達」の資格を持った方なのですが、運転手による“当たり外れ”は法人タクシーの方に多い模様です。
また、四国現地では先達の資格もないのにワゴン車などを使った“白タク” の存在も囁かれておりますから、タクシーの選定に際してはご注意を。
・自転車遍路の内訳総額は日数と宿の選択により変動する自転車遍路では、おおよそ15万円~20万円程度で、結願に至るケースが多いようです。
⇒巡拝用具・納経費用・書籍費用(地図やガイドブック)・飲食費・宿泊費用・自転車メンテナンス費など
モチロン、テント持参などで宿泊費用を抑えれば、10万円以下で結願することも出来ましょうが、あまり節約ばかりしていると身体的な疲労が蓄積され、その結果、1日の移動距離が伸びず所要日数が増えてしまうこともあるので、その点はご注意を。
基本、「自転車遍路と歩き遍路は共通する点が多い」と言われており、その中でも、納経費用・昼食代・飲料水購入費などの「1日にかかる費用」には、かなり近いものがあるようです。
その費用は
「1日8000円程度×所要日数=総額」
という、ワタクシ独自の計算式から。 この計算式に当てはめれば、 自転車遍路の場合「8000円×18日=144000円」といった目安が、導き出せます。
これらに加え、巡拝用具やガイドブックに地図などの費用、それに四国への往復費用やお土産代、そして、最後まで走りきるために欠かせない「自転車のメンテナンス費用」などがかかりそうです。
・バイク遍路の費用内訳バイク遍路の場合は“ツーリング経験者”の方が非常に多いそうで、その意味から宿に極力泊まらずに短期間で結願可能という場合が多いそうです。
⇒ 巡拝用具費・納経費用・宿泊代・飲食費・ガゾリン代・(高速代)・(一部)駐車料金・メンテナンス費
例え宿に泊まる場合でも、車同様に“機動力”を活かし、例えば健康ランドのような安めの宿を探し出して泊まることもあると聞きますから、全体的にかなりの“安上がり”で済ますことが出来るのでしょう。
費用の目安は「車遍路と同じ」 と考え、そこに駐車場費用などが少なくて済む、宿泊費が安めで済むという2点を加えますと、おおよそ、「バイク遍路が1日にかかる費用は1万1千円程度」(1日10ヶ寺程度参拝、宿を利用した場合)でしょうか。
それに「日数」をかければ、費用の目安が分かるのではないでしょうか。
なお、このバイク遍路経験者に話を伺いますとタイヤを始めとするメンテナンス費用を、考慮しておくべきだということでした。
・公共交通機関&徒歩の費用内訳公共交通機関の利用を主とする“乗り物遍路”では、列車やバスのアクセスが悪かった場合に「タクシーを使う」「歩きを選択する」のドチラかで、費用も日数も変動してまいります。
⇒巡拝用具・納経費用・書籍費用(地図やガイドブック)・飲食費・宿泊費用・交通費・時刻表関連の書籍代やネット接続費用など
今現在のワタクシは“歩き主体の乗り物遍路”で札所巡りをすることが多いのですが、特に力を入れているのが、四国現地における列車やバスの時刻表に関する情報収集活動。
ご存知のことだと思われますが、四国は場所を問わず“車社会”。
そのような場所で地元の方に交通機関について尋ねても、列車はともかく(市販の「時刻表」を購入するかネット検索すれば事足りる)、バスともなると営業ルートや時刻表を把握している人が大変に少ないのが現状。
例えバス情報について地元の人から教えられても、それが古い情報であったりすることが頻繁にあり、また、教えられたルートが廃線となっていたり運行本数が減らされていて乗ることが出来なかったり、といったことも。また、それとは逆にトボトボと歩いていた所にバスが通り、聞けば最近になって運行を開始したコミュニティバスであったり、ということも。
基本、札所の近くに列車の駅があることは非常にマレで、それゆえに“乗り物遍路”を試みるのであれば、先ずは「バスルートがあるかどうか」を要確認。そのバスのルートと時刻表を把握しておき、歩くかバスを待つかという選択をするのが良いでしょう。
ワタクシが出会ったある遍路は、行く先々でバスルートを把握するべく「バス会社や役所に電話で確認」するようにしているらしいですよ。
・歩き遍路の費用内訳宿の費用は1泊2食で6000円~7000円。昼食代と飲料水購入費は1日1000円程度。それに、かなりの高確率でいただける“お接待”による割引。
⇒巡拝用具・納経費用・書籍費用(地図やガイドブック)・飲食費・宿泊費用・お土産代など
おおよそ、歩き遍路の1日にかかる費用は8000円前後。これに所要日数をかければ、
「1日8000円×43日=344000円」
という計算が成り立ちそうです。モチロン、地図を含めた歩き遍路に必要とされる巡拝用品は1万5千円、納経費用は88ヶ寺で2万6千400円(お賽銭代別)かかるわけですが、トータルで見れば「歩き遍路は35万円前後で収まる」場合が多いというのが、ワタクシの持論。
“ウマく行く” のならば、このトータル金額内で巡拝用品代や納経費用、それに四国までの往復交通費なども相殺される可能性も高いでしょう。
この他、歩き遍路をはじめとして「携行品の事前購入」(専用のザック・靴・衣服・雨具など)。それに、遍路中のケガや体調不良による「薬代」、止むを得ない事情で使用する列車やバス、タクシーなどの「臨時交通費」、お世話になった人たちに配る「お土産代」などが、別途必要となるでしょうか。
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