車や徒歩といった移動手段を問わず、四国八十八ヶ所を巡拝するには“それに適した季節”というものがございます。
一番は、気候も温暖で安定している「春遍路」。二番目には、朝晩が涼しく過ごしやすい「秋遍路」。
春と秋共に、“お彼岸”をスタートの合図に遍路がドッと四国に集うこととなり、札所は終始大混雑。その余波は「宿」にも及び、この時期となると宿泊予約が大変な困難に。
そんな春と秋の人気に対し、グッと参拝者の減るのが「夏遍路」と「冬遍路」。
“南国”クラスの暑さを誇る四国の夏には、若い世代の“チャレンジャー” (リンク先:当ブログ内関連記事)が終結し、暑さや蚊に悪戦苦闘。冬場となると、土日祝日以外には遍路の姿はほとんど見当たらず、各札所はひっそりと静まり返る状態。
これら春夏秋冬には、それぞれ“利点”も“欠点”も存するモノ。
以下、「遍路における季節ごとの注意点」を、述べてみたいと思います。
・春遍路
利点:気候的に最も温暖
欠点:参拝者の数が多すぎる
・秋遍路
利点:朝晩が涼しく、春よりも空いている
欠点:日が短く天候も不安定
・夏遍路
利点:日が長く行動時間が長く取れる
欠点:暑すぎる
・冬遍路
利点:札所に人が少なく、納経がスムーズ
欠点:寒くて日が短い
・春遍路 期間:3月下旬~5月上旬「遍路=春」 というほどの、大人気の季節。全ての季節の中で最も過ごしやすい。
利点:気候的に最も温暖
欠点:参拝者の数が多すぎる
注意点:札所の大混雑と宿の予約
気候も温暖で、4月の上旬頃までは防寒対策も必要かもしれないが、それ以降は半袖に近い衣服でも過ごせる。
日照時間も日に日に長くなるため、明るい時間帯の行動時間も長く取れる(行動時間の目安:午前5時頃~18時過ぎまで)。
こういった利点がある反面、春は札所が大混雑して納経するのに時間がかかり、宿泊予約が非常に困難。
・秋遍路春に次いで人気があるのが、「秋」。
期間:9月下旬~11月中旬
利点:朝晩が涼しく、春よりも空いている
欠点:台風などで気候が不安定な時がある
注意点:昼間の暑さと台風対策、日暮れの早さ
「9月・10月・11月の土日祝日」を中心に、車遍路や団体バス遍路がドッと繰り出して来る。
9月と10月の昼間に関しては「夏と同じような暑さ」である反面、朝と夕方には「冬かと思うような寒さ」が襲い、特に11月に関しては気温も日の短さも冬と同じだと考えた方が良いでしょう。
「日が短い」のが最大特徴で、9月下旬から10月の上旬頃は「朝の5時30分過ぎから夕方の18時過ぎまで明るい」のだが、11月に入ると「朝は6時過ぎから夕方は17時30分頃まで」しか、明るい時間帯はない。
・夏遍路“若者の季節”とも言える、「夏」。
期間:7月中旬~9月中旬
利点:日が長いため行動時間が長く取れる
欠点:死者がでるほど暑い
注意点:蚊やアブ、台風への警戒
おおよそ四国の梅雨明け時期である「7月の中旬から下旬」をスタートラインとして、「9月の中旬」頃までは、直射日光が遍路を苦しめる夏だと解する方が良い。
利点は唯一つ、「日が長い」。
朝の4時前後から夜の7時過ぎまで明るいのは、他の時期では考えられないほどで、もしも暑さに負けずに移動できるなら、移動距離は全ての季節を通じて最長となろう。
しかしながら・・・
どういった事情かは分かりませんが、2000年代の半ば以降の四国は“とんでもない酷暑”を記録するケースが多発。それによって「歩き遍路の病院送り事件」のハナシを聞いたのも、一度や二度では済まないほど(しかも「死」に至ったとされる)。
ワタクシも四国の山間部で「今の時間は39度以上になっている・・・」という状況に出くわしたが、まさに「今生きていること自体が奇跡」というほどの、信じられない暑さであったものだ。
そんな夏の暑さでも、土日やお盆休みを利用して遍路に来られる方も少なくない模様。
夏場の必勝法は
朝の5時前から午後の3時過ぎまでで“決着”をつける
しかなく、早朝出発をして早めに宿に入る必要があるワケです。ともかく寒いは日が短いはでイイトコロなど何もなさそうな、「冬遍路」。
・冬遍路
期間:11月下旬~3月上旬
利点:年末年始を除き、札所が空いている
欠点:寒くて日が短く休業する宿も多い
注意点:雨や雪の日の寒さ対策
愛媛県60番横峰寺などは午後4時30分頃までで納経を締め切るというし、四国内の場所によっては午後4時30分頃で暗くて周囲が見えなくなるなど、行動時間に制限が最も加わる時期。
しかしながら、札所に集う人の数は少なく、「歩き遍路」に限定するのであれば、涼しくて汗もダラダラとはかかず意外に歩きやすい時期でもあります。
モチロン、そんな歩きやすさも「雨や雪」ともなると、シャレにならなくなるのですが。
この冬遍路では、「行動時間の短さ」(朝7時前から夕方4時30分頃まで)に、先ず注意。
次いで、「天候不良時の寒さ」への対策を欠かさずに。
そして三つ目に「宿の休業や変則営業」に注意。
年末年始は休みという宿が意外に多く、また、営業していたとしても年末年始特別料金を徴収される場合もございますから。
以上のような「遍路における季節ごとの注意点」を見てみますと、やはり「春遍路が一番やりやすい」ような気がします。
「宿探しが困難」という非常に難しい問題もございますが、気候的に安定していて日も徐々に長くなるという“動きやすさ” は、他季節の群を抜きます。
読者の方は以上のような“季節差”を考慮に入れて、遍路へと旅立つ時期を決めれば良いでしょう。
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